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重度歯周病の歯を放置するとどうなる?「痛くないから大丈夫」が危険な理由

1.「痛くないのに重度歯周病」と言われたときの戸惑い

痛みも腫れもないのに「重度」と告げられた驚き

歯科医院で検査を受けた際に、「重度の歯周病です」と告げられて驚いた方は少なくありません。特に、これまで歯が痛んだことも、歯ぐきが大きく腫れたこともなかった場合、「本当に自分のことなのだろうか」と、すぐには受け止めきれないこともあるでしょう。

多くの方にとって、歯の病気といえば「痛み」で気づくものというイメージがあります。むし歯が進むとしみたり痛んだりするため、痛みがない状態は「問題がない」ことの目安のように感じられるものです。そのため、自覚症状がほとんどないまま重度と診断されると、驚きと同時に「何か見落としていたのでは」という不安や戸惑いが生まれやすくなります。

しかし、歯周病は痛みなどの自覚症状が出にくいまま進行することが多い病気です。歯ぐきの中で歯を支える骨が少しずつ失われていても、日常生活ではほとんど変化を感じないことも珍しくありません。重度と診断される段階になって、初めてその存在を知る方も多くいらっしゃいます。

「痛くないのに重度」という状況は、決して特別なことではありません。まずはその事実を落ち着いて受け止め、ご自身のお口の中で何が起きているのかを知ることから始めていきましょう。

「痛くないから大丈夫」と思ってしまうのは自然なこと

重度歯周病と診断されても、痛みがないと「今すぐ治療しなくても大丈夫ではないか」と感じてしまうことがあります。こうした気持ちは、決して特別なものではなく、多くの方が抱く自然な感覚です。

私たちは普段、体の不調を「痛み」や「つらさ」を通じて認識しています。痛みがなければ日常生活に支障はなく、食事もこれまでどおりにできるため、治療の必要性を実感しにくいのは当然のことといえます。また、仕事や家庭の事情で忙しい中、通院の時間を確保することへの負担や、治療そのものへの不安から、受診を先延ばしにしたくなる気持ちもあるでしょう。

ただ、歯周病については「痛くない=進行していない」とは限らない点に注意が必要です。歯周病は、細菌による炎症が歯ぐきの奥で慢性的に続き、歯を支える骨が時間をかけて失われていく病気です。この過程では強い痛みを伴わないことが多く、歯周病が痛くない状態のまま進行しているケースも少なくありません。

「痛くないから大丈夫」と感じるのは自然なことですが、その感覚だけで判断してしまうと、気づかないうちに歯周病の進行を許してしまう可能性があります。ご自身の感覚に加えて、検査結果という客観的な情報にも目を向けることが大切です。

放置してよいのか迷ったときにこそ知っておきたいこと

重度歯周病と告げられたものの、「このまま様子を見てもよいのか」「治療を受けるべきなのか」と迷っている方もいらっしゃると思います。そのようなときにこそ知っておいていただきたいのは、歯周病は一般的に、治療をせずに自然に治ることは期待しにくい病気だということです。

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの境目や歯周ポケットと呼ばれるすき間にたまった細菌のかたまり(歯垢や歯石)です。特に歯ぐきの奥に付着した歯石は、毎日の歯みがきだけで取り除くことが難しく、そのままにしておくと炎症が続きやすくなります。重度歯周病を放置した場合、歯を支える骨がさらに失われ、歯のぐらつきが強くなったり、最終的には歯を失ったりする可能性があります。

一方で、重度と診断されたからといって、すぐに歯を失うと決まったわけではありません。お口の状態によっては、炎症を抑える治療や継続的なケアによって、歯周病の進行を緩やかにし、歯を保てる可能性もあります。

迷ったときに大切なのは、一人で結論を出そうとしないことです。検査結果の意味や、放置した場合に考えられる経過、治療の選択肢について歯科医師から説明を受けることで、ご自身にとってよりよい判断がしやすくなります。

当院の歯周病治療の考え方については、歯周病治療のページでご紹介しています。

 

2.まずは知っておきたい歯周病の基礎知識

歯周病は「歯を支える組織」が壊れていく病気

歯周病は、歯そのものではなく、歯を支えている周りの組織に起こる病気です。歯は、歯ぐき(歯肉)、歯の根の表面を覆うセメント質、歯と骨をつなぐ歯根膜、そして歯を支える顎の骨(歯槽骨)といった組織によって支えられています。これらをまとめて「歯周組織」と呼び、歯周病はこの歯周組織が細菌による炎症によって少しずつ壊れていく病気です。

原因となるのは、歯と歯ぐきの境目にたまる歯垢(プラーク)に含まれる細菌です。歯垢がたまった状態が続くと、歯ぐきに炎症が起こり、歯と歯ぐきの間のすき間である「歯周ポケット」が深くなっていきます。深くなったポケットの中は清掃が難しく、細菌がさらに増えやすい環境になるため、炎症が歯ぐきの奥へと広がり、やがて歯を支える骨が溶かされていきます。

歯を支える骨が失われると、歯は土台を失った状態となり、ぐらつきが生じるようになります。むし歯が歯そのものを溶かす病気であるのに対し、歯周病は歯の「土台」を失っていく病気といえます。

歯周病は日本の成人の多くにみられる身近な病気であり、歯を失う主な原因の一つとされています。特別な病気ではないからこそ、その仕組みを正しく知っておくことが、ご自身の歯を守る第一歩になります。

歯肉炎から重度歯周病まで、進行の段階を知る

歯周病は、ある日突然重度になるわけではなく、段階を追って少しずつ進行していきます。進行の目安を知っておくと、ご自身の状態を理解しやすくなります。

最初の段階は「歯肉炎」です。炎症が歯ぐきだけにとどまっている状態で、歯みがきの際の出血や、歯ぐきの赤み・腫れがみられることがあります。この段階では歯を支える骨はまだ失われておらず、適切な歯みがきや歯科医院でのクリーニングによって、健康な状態に戻ることが期待できます。

炎症が歯ぐきの奥へ進み、歯を支える骨が失われ始めると「歯周炎」と呼ばれる段階になります。一般的に、歯周ポケットの深さが3〜4mm程度で骨の吸収がわずかな状態を軽度、4〜6mm程度で骨の吸収が進んだ状態を中等度、6mm以上の深いポケットがあり、骨が根の長さの半分以上失われているような状態を重度と説明することが多くあります。なお、健康な歯ぐきのポケットの深さは1〜2mm程度とされています。

歯周炎の段階で失われた骨は、自然に元に戻ることは期待しにくいとされています。そのため、歯周病の進行をできるだけ早い段階で食い止めることが、歯を長く保つうえで重要です。ご自身がどの段階にあるのかは、歯周ポケット検査やレントゲン検査によって確認できます。

見逃したくない重度歯周病の症状とサイン

歯周病は初期には自覚症状が出にくい病気ですが、重度に進行すると、いくつかの変化が現れることがあります。重度歯周病の症状として、次のようなサインが挙げられます。

代表的なのは、歯のぐらつきです。歯を支える骨が大きく失われることで、指や舌で触れると歯が動く、硬いものを噛むと不安定に感じる、といった状態になります。また、歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯と歯の間にすき間ができて食べ物が挟まりやすくなる、前歯が少しずつ前に出てきた・歯並びが変わってきた、と感じることもあります。

歯ぐきからの出血や膿、口臭が強くなるといった変化も、重度歯周病でみられやすい症状です。口の中がねばつく、嫌な味がするといった感覚を覚える方もいらっしゃいます。さらに、体調を崩したときや疲れがたまったときに、歯ぐきが急に大きく腫れて痛むことがあります。これは、慢性的に続いていた炎症が一時的に強まった状態と考えられます。

ただし、こうした症状の現れ方には個人差があり、重度であっても目立った変化を感じないまま過ごしている方もいらっしゃいます。「以前より噛みにくい」「歯並びが変わった気がする」といった小さな変化も、歯周病の進行を知らせるサインである場合があります。気になる症状があれば、早めに歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。

歯ぐきからの出血については、「歯ぐきから血が出たら要注意」のコラムでも詳しくご紹介しています。

 

3.歯周病が痛くないまま進行するのはなぜか

歯周病が「静かに進行する病気」と呼ばれる理由

歯周病は、「サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)」と表現されることがあります。これは、歯周病の多くが強い痛みなどの自覚症状を伴わないまま、長い時間をかけて進んでいくためです。

歯周病による炎症は、多くの場合、急激に強まるのではなく、歯ぐきの奥で弱い炎症がくすぶるように続く「慢性炎症」として進行します。急な炎症であれば痛みや腫れとして表れやすいのですが、慢性的な炎症は体が反応を抑えた状態で続くため、はっきりとした痛みとして感じにくいのです。

また、歯を支える骨は、歯周病によってゆっくりと失われていきます。骨が少しずつ吸収されていく過程そのものは、痛みとして感じられることがほとんどありません。数年から十数年という長い期間をかけて変化が起こるため、ご本人がその変化に気づきにくいことも特徴です。

さらに、歯周病の進行は一定のペースではなく、比較的落ち着いている時期と、炎症が強まって進行しやすい時期を繰り返すと考えられています。落ち着いている時期には症状がほとんどないため、「治ったのかもしれない」と感じてしまうこともあります。

このように、歯周病が痛くないまま進行するのは、病気の性質そのものによるものです。痛みの有無だけでは状態を判断しにくい病気であることを知っておくことが大切です。

痛みが出るのはどのようなときか

歯周病は痛みを伴わないことが多い病気ですが、まったく痛みが出ないわけではありません。痛みが出るのは、主に次のような場面です。

代表的なのが、「急性発作」と呼ばれる状態です。これは、慢性的に続いていた炎症が一時的に強まるもので、歯ぐきが大きく腫れる、ズキズキと痛む、膿がたまるといった症状が現れます。深い歯周ポケットの中で細菌が増えたり、疲れや睡眠不足、風邪などで体の抵抗力が落ちたりしたときに起こりやすいとされています。膿がたまった状態は「歯周膿瘍(ししゅうのうよう)」と呼ばれます。

また、歯を支える骨が大きく失われて歯がぐらついている場合、噛んだときに歯が動いて痛みを感じることがあります。歯ぐきが下がって歯の根が露出すると、冷たいものがしみる「知覚過敏」の症状が出ることもあります。

注意したいのは、急性発作の痛みや腫れは、薬や応急処置によって数日から1週間ほどで落ち着くことが多い点です。痛みが治まると「治った」と感じやすいのですが、原因となっている細菌や深い歯周ポケットはそのまま残っており、炎症は再び慢性的な状態に戻っただけという場合が少なくありません。

痛みが出たときは、歯周病が進行しているサインである可能性があります。症状が落ち着いた後も、原因への治療を受けることが大切です。

自覚症状と実際の進行度にずれが生じるわけ

「それほど気になる症状はないのに、検査では重度と言われた」というように、ご自身の感覚と実際の進行度にずれが生じることは、歯周病では珍しくありません。こうしたずれが生じる背景には、いくつかの理由があります。

一つは、自覚症状が「今起きている炎症の強さ」を反映しやすい一方で、歯周病の進行度は「これまでに失われた骨の量」によって判断されることです。長い年月をかけて失われた骨の量は、現在の痛みや腫れの有無と一致するとは限りません。炎症が落ち着いている時期であれば、骨が大きく失われていても症状はほとんど感じられないことがあります。

また、変化がゆっくりと進むため、体がその状態に慣れてしまうことも一因です。歯みがきのときの少量の出血や、わずかな歯ぐきの下がりは「いつものこと」として見過ごされやすく、奥歯の変化はご自身で確認することも難しいものです。

さらに、喫煙習慣のある方は、たばこの影響で歯ぐきの血流が低下し、出血や腫れといった炎症のサインが表れにくくなることが知られています。そのため、歯周病が進行していても気づきにくい傾向があります。

こうしたずれを埋めるためには、歯周ポケット検査やレントゲン検査といった客観的な検査が欠かせません。症状がなくても定期的に検査を受けることが、歯周病の進行に早く気づく手がかりになります。

症状がないうちから受ける検査やケアについては、「予防歯科とは?メリットや予防歯科で行う内容も」もあわせてご覧ください。

 

4.重度歯周病を放置するとお口の中で起こること

歯を支える骨が失われ、歯のぐらつきが進む

重度歯周病を放置した場合、まず懸念されるのが、歯を支える骨(歯槽骨)がさらに失われていくことです。歯周病の原因となる細菌が深い歯周ポケットの中にとどまり続けると、炎症が慢性的に続き、骨の吸収が少しずつ進んでいきます。

歯は、骨にしっかりと支えられることで、噛む力に耐えることができます。しかし、支えとなる骨が減っていくと、歯は土台が不安定な状態になり、ぐらつきが目立つようになります。初めは「硬いものを噛むと少し不安定に感じる」程度でも、進行すると舌で触れただけで歯が動く、食事の際に噛みにくいといった状態になることがあります。

さらに注意したいのは、歯のぐらつきと噛む力が悪循環を生む場合があることです。支えが弱くなった歯に、通常の噛む力が加わるだけでも負担が大きくなり、歯周組織へのダメージが強まることがあります。その結果、歯のぐらつきがさらに進みやすくなると考えられています。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合は、こうした負担がより大きくなることもあります。

また、骨が失われることで、歯が少しずつ移動し、前歯が扇状に広がる、歯と歯の間にすき間ができるといった変化が起こることもあります。歯周病の進行は、見た目や噛み心地にも影響を及ぼす可能性があるのです。

歯が抜け落ちることで噛み合わせ全体が崩れていく

重度歯周病をさらに放置すると、歯を支える骨がほとんど失われ、最終的には歯が自然に抜け落ちたり、抜歯が必要になったりすることがあります。歯を1本失うことは、その部分で噛めなくなるだけでなく、お口全体の噛み合わせにも影響を及ぼします。

歯は、隣り合う歯や上下で噛み合う歯と支え合いながら、バランスを保っています。1本の歯が失われると、そのすき間に向かって隣の歯が傾いたり、噛み合う相手を失った歯が伸びてきたりすることがあります。こうした歯の移動が起こると、噛み合わせのバランスが少しずつ崩れていきます。

また、歯を失った部分では噛みにくくなるため、無意識のうちに反対側ばかりで噛むようになることもあります。片側で噛む習慣が続くと、残っている歯に負担が集中し、その歯の歯周病の進行やトラブルにつながる可能性があります。噛み合わせの乱れは、顎の関節や周囲の筋肉に負担をかける要因の一つになることもあります。

歯周病は複数の歯で同時に進行していることが多いため、1本を失った後に、別の歯も次々と失ってしまうケースもあります。噛む機能が低下すると、食べられるものが限られ、食事の楽しみや栄養のバランスにも影響が出ることが考えられます。

周囲の歯への影響と、治療の選択肢が狭まる可能性

重度歯周病を放置することの影響は、症状のある歯だけにとどまりません。周囲の歯や、将来の治療の選択肢にも関わってくる可能性があります。

歯周病は、お口の中の細菌による感染症です。1本の歯の周りで炎症が続いていると、その周辺には歯周病の原因となる細菌が多い環境が保たれやすくなります。また、隣り合う歯は同じ骨に支えられているため、炎症によって骨が失われると、隣の歯の支えにも影響が及ぶことがあります。

さらに、歯周病の進行によって骨が大きく失われると、治療の選択肢が限られてしまう場合があります。たとえば、歯周組織の再生を目指す治療は、骨の失われ方や残っている骨の量などによって適応が判断されます。進行が進むほど、こうした治療の対象になりにくくなることがあります。

歯を失った後の治療についても同様です。インプラント治療では、埋め込むための十分な骨の量が必要になります。ブリッジでは両隣の歯を支えにするため、その歯が健康であることが大切です。入れ歯でも、残っている歯や歯ぐきの状態が安定性に関わります。骨や周囲の歯の状態が悪化していると、選べる方法が限られたり、骨を補う処置が必要になったりすることがあります。

早い段階で歯周病の進行を抑えることは、今ある歯を守るだけでなく、将来の選択肢を残すことにもつながります。

歯を失った後の治療法については、インプラントや義歯・入れ歯のページでもご紹介しています。

 

5.歯周病の放置はお口だけの問題ではない

糖尿病と歯周病の深い相互関係

歯周病と糖尿病は、互いに影響し合う関係にあることが多くの研究から報告されています。歯周病は「糖尿病の合併症の一つ」ともいわれており、両者の関係は歯科と医科の双方で注目されています。

まず、糖尿病があると歯周病が進行しやすくなります。血糖値が高い状態が続くと、体の免疫機能が低下したり、傷が治りにくくなったりするため、歯周病の原因となる細菌に対する抵抗力が弱まります。その結果、歯ぐきの炎症が起こりやすく、進行もしやすくなると考えられています。

一方で、歯周病が糖尿病に影響を与えることも分かってきています。歯周病によって歯ぐきに炎症が続くと、炎症に関わる物質が血流に乗って全身に運ばれます。この物質には、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを妨げる作用があるとされ、血糖値のコントロールを難しくする要因の一つになると考えられています。

実際に、糖尿病のある方が歯周病治療を受けたことで、血糖コントロールの指標に改善がみられたという報告もあります。つまり、歯周病を放置しないことは、お口の健康だけでなく、全身の健康管理にもつながる可能性があるのです。

糖尿病の治療を受けている方や、健康診断で血糖値を指摘されたことがある方は、歯科医師にその旨を伝え、歯周病の状態を確認してもらうことをおすすめします。

心臓・血管の病気や誤嚥性肺炎との関連

歯周病は、心臓や血管の病気、肺炎など、全身のさまざまな病気との関連も指摘されています。

歯周病によって歯ぐきに炎症が続くと、歯周ポケットの内側の傷ついた部分から、細菌やその毒素、炎症に関わる物質が血管の中に入り込むことがあります。これらが血流に乗って全身に運ばれることで、血管の壁に影響を与え、動脈硬化の進行に関わる可能性があると考えられています。実際に、動脈硬化を起こした血管から歯周病の原因菌が見つかったという報告もあります。こうしたことから、歯周病と心筋梗塞や脳梗塞などとの関連が研究されています。ただし、歯周病がこれらの病気を直接引き起こすかどうかについては、現在も研究が続けられている段階です。

また、特に注意したいのが誤嚥性肺炎との関係です。誤嚥性肺炎とは、飲み込む力が弱くなったことなどにより、食べ物や唾液が誤って気管に入り、それに含まれる細菌が肺で炎症を起こす病気です。お口の中に歯周病の原因菌などが多い状態では、誤嚥した際に肺へ入る細菌の量も多くなると考えられます。高齢者施設などでの研究では、専門的な口腔ケアによって肺炎の発症が減少したという報告もあります。

歯周病の放置を避けることは、全身の健康を守る取り組みの一つとしても大切だといえます。

妊娠中の方や高齢の方が気をつけたいこと

歯周病との付き合い方は、ライフステージによって注意すべき点が異なります。特に、妊娠中の方と高齢の方には、それぞれ気をつけたいポイントがあります。

妊娠中は、女性ホルモンの変化によって歯ぐきに炎症が起こりやすくなることが知られており、「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる状態がみられることがあります。つわりで歯みがきが難しくなることも、お口の環境を悪化させる要因になります。また、妊娠中の歯周病と早産や低体重児出産との関連を指摘する研究もあります。因果関係についてはさまざまな見解がありますが、妊娠中もお口の健康を保つことは大切です。体調が比較的安定しやすい妊娠中期(5〜7か月頃)は、歯科受診に適した時期とされることが多いため、産婦人科の主治医とも相談しながら検診を受けることをおすすめします。

高齢の方の場合は、長年の歯周病の進行によって歯を失うリスクが高まるほか、歯ぐきが下がって露出した歯の根がむし歯になりやすくなることもあります。歯を失って噛む機能が低下すると、食べられるものが限られ、栄養状態や体力の低下につながる可能性があります。前述の誤嚥性肺炎の予防の観点からも、お口を清潔に保つことが大切です。

年齢や体の状態に合わせたケアの方法については、歯科医師や歯科衛生士に相談してみてください。

妊娠中の歯科受診については、当院のマタニティー歯科のページでご案内しています。

 

6.重度歯周病でも治療の可能性はある

重度と診断されても、すぐに抜歯とは限らない

「重度歯周病」と聞くと、「もう歯を抜くしかないのでは」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、重度と診断されたからといって、すべての歯がすぐに抜歯の対象になるわけではありません。

重度歯周病という診断は、お口全体の状態や、特に進行している歯の状態をもとに判断されることが一般的です。実際には、同じお口の中でも歯によって進行の程度は異なり、骨が大きく失われている歯もあれば、比較的状態が保たれている歯もあります。また、骨の失われ方や歯のぐらつきの程度、根の形、噛み合わせの状態などによって、治療で保てる可能性がある歯も少なくありません。

歯を残せるかどうかは、レントゲン検査や歯周ポケット検査などの結果をもとに、1本ずつ総合的に判断されます。治療によって炎症が落ち着き、ぐらつきが改善するケースもあるため、初診時の状態だけで結論を出さず、治療後の反応を見ながら判断することもあります。

一方で、骨がほとんど失われていて保存が難しい歯や、残すことで周囲の歯の骨まで悪化させるおそれがある歯については、抜歯が提案される場合もあります。これは、お口全体の健康を守るための判断です。

大切なのは、歯科医師から検査結果と判断の理由について説明を受け、納得したうえで治療方針を選ぶことです。疑問があれば遠慮なく質問してみてください。

抜歯を提案された場合に確認しておきたいことは、「重度歯周病で「抜歯しかない」と言われたら?歯を抜く前に確認したいこと」で詳しく解説しています。

炎症を抑える基本治療から始まる歯周病治療

歯周病治療は、重度の場合であっても、まず「歯周基本治療」と呼ばれる治療から始めるのが一般的です。これは、歯周病の原因となる細菌を減らし、歯ぐきの炎症を抑えることを目的とした治療です。

基本治療の第一歩は、ご自身で行う歯みがきの見直しです。歯科衛生士が、歯ブラシの当て方や歯間ブラシ・デンタルフロスの使い方など、お口の状態に合わせた清掃方法をお伝えします。歯周病治療の効果は、毎日のセルフケアの質に大きく左右されるため、この段階はとても重要です。

あわせて、歯の表面や歯ぐきの縁についた歯石を取り除く「スケーリング」を行います。さらに、歯周ポケットの奥深くの歯の根の表面に付着した歯石や汚れを取り除き、根の表面をなめらかに整える「スケーリング・ルートプレーニング(SRP)」を行います。重度歯周病ではポケットが深いため、必要に応じて麻酔を使いながら、数回に分けて丁寧に処置を進めることが多くあります。

基本治療を終えた後は、再び歯周ポケットの深さや出血の有無などを検査し、治療の効果を確認します。この段階で炎症が落ち着き、ポケットが浅くなるケースもあります。一方で、深いポケットが残っている場合には、次のステップとして外科的な治療が検討されることがあります。

基本治療は地道な治療ですが、歯周病の進行を抑えるための土台となる大切なステップです。

歯石とセルフケアの関係については、「歯石は自分で取れる?」のコラムもご参照ください。

歯周外科治療や歯周組織再生療法という選択肢

歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットが残っている場合や、通常の器具では奥深くの歯石を取り除くことが難しい場合には、「歯周外科治療」が検討されることがあります。

代表的な方法の一つが「フラップ手術」です。麻酔をしたうえで歯ぐきを切開して開き、歯の根の表面や歯周ポケットの奥に残った歯石や感染した組織を、目で確認しながら取り除きます。その後、歯ぐきを元の位置に戻して縫い合わせます。直接見ながら清掃できるため、より確実に汚れを取り除きやすくなり、歯周ポケットを浅くすることが期待できます。

さらに、失われた歯周組織の回復を目指す方法として「歯周組織再生療法」があります。これは、フラップ手術の際に、骨や歯周組織の再生を促す薬剤や材料、特殊な膜などを用いることで、失われた骨や歯を支える組織の再生を図る治療です。用いる薬剤や材料によって、保険診療の対象となるものと、自費診療となるものがあります。

ただし、歯周組織再生療法はすべてのケースに適用できるわけではありません。骨の失われ方の形や範囲、歯のぐらつきの程度、全身の健康状態、喫煙の有無、日々の歯みがきの状態などによって、適応かどうかが判断されます。また、再生の程度には個人差があります。

どの治療が適しているかは、検査結果をもとに歯科医師と相談しながら検討することが大切です。

歯周組織の再生を目指す治療については、当院の再生治療のページでもご紹介しています。

 

7.受診前に準備しておきたいことと歯科医院選び

歯周ポケット検査やレントゲンで分かること

歯周病の状態を正しく把握するためには、いくつかの検査を組み合わせて行うことが一般的です。どのような検査で何が分かるのかを知っておくと、受診への不安が和らぎ、検査結果の説明も理解しやすくなります。

代表的なのが「歯周ポケット検査」です。目盛りのついた細い器具(プローブ)を歯と歯ぐきの間にそっと入れ、歯周ポケットの深さを測ります。1本の歯につき数か所を測定することで、どの歯のどの部分で歯周病が進行しているのかを細かく確認できます。あわせて、測定時の出血の有無を確認することで、現在炎症が起きているかどうかの目安にもなります。

歯のぐらつきの程度を調べる「動揺度検査」や、歯みがきで磨き残しがある部分を確認する検査が行われることもあります。

さらに、レントゲン検査では、歯周ポケット検査だけでは分からない、歯を支える骨の状態を確認できます。骨がどのくらい失われているか、骨の減り方が全体的か部分的か、根の形はどうなっているかなどを把握することで、治療方針や歯を残せる可能性を検討する材料になります。必要に応じて、骨の状態を立体的に確認するためにCT検査を行う場合もあります。

こうした検査は、歯周病が痛くないまま進行している場合でも、その状態を客観的に知るための大切な手がかりとなります。

受診時に伝えておきたい症状・持病・生活習慣

歯科医院を受診する際は、お口の症状だけでなく、全身の健康状態や日頃の生活習慣についても伝えておくことが大切です。これらの情報は、歯周病の進行に関わる要因を把握し、より適切な治療計画を立てるための手がかりになります。

まず、お口の症状については、「いつ頃から」「どのような変化があるのか」を整理しておくと伝えやすくなります。たとえば、歯みがきのときの出血、歯ぐきの腫れや痛み、歯のぐらつき、口臭、食べ物が挟まりやすい、歯並びが変わってきた、といった点です。過去に歯ぐきが腫れたことがある、以前に歯周病を指摘されたことがあるといった経緯も参考になります。

持病については、特に糖尿病の有無や血糖値の状態は、歯周病と深く関わるため、ぜひお伝えいただきたい情報です。また、骨粗しょう症の治療薬や血液をサラサラにする薬など、服用中のお薬が治療内容に影響する場合もあるため、お薬手帳を持参されると安心です。妊娠中や妊娠の可能性がある方も、その旨をお知らせください。

生活習慣では、喫煙の有無や本数、歯ぎしり・食いしばりの癖、ご家族に歯周病で歯を失った方がいるかどうかなども、治療の参考になります。伝えにくいことがあっても、正確な情報を共有することが、よりよい治療につながります。

納得して治療を受けるための歯科医院選びのポイント

重度歯周病の治療は、一度の通院で終わるものではなく、治療後のメンテナンスも含めて長く付き合っていくことが多いものです。そのため、安心して通い続けられる歯科医院を選ぶことが大切です。

一つ目のポイントは、検査結果を分かりやすく説明してもらえるかどうかです。歯周ポケットの深さやレントゲン写真などを見ながら、現在の状態や歯周病の進行度、放置した場合に考えられる経過について丁寧に説明を受けることで、ご自身の状態を理解しやすくなります。

二つ目は、治療の選択肢について説明があるかどうかです。歯を残すための治療の可能性や、それぞれの治療のメリット・デメリット、期間や費用の目安などを示してもらえると、納得して治療方針を選びやすくなります。抜歯が提案される場合も、その理由を具体的に説明してもらえるかが大切です。

三つ目は、治療後の定期メンテナンスの体制が整っているかどうかです。歯周病は再発しやすい病気のため、歯科医師と歯科衛生士が連携して、継続的にお口の状態を確認してもらえる環境があると安心です。

また、歯周病治療に関する学会の認定を受けた歯科医師が在籍しているかどうかを、参考の一つにする方法もあります。治療方針に迷う場合は、セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。

当院が大切にしている診療の考え方については、コンセプトページでご紹介しています。

 

8.治療後に歯周病の進行を防ぐために

定期メンテナンスが再発予防の要になる理由

歯周病の治療によって炎症が落ち着いた後も、治療はそこで終わりではありません。歯周病は再発しやすい病気であり、治療後の状態を保つためには、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。

歯周病の原因となる細菌は、治療で一度減らしても、時間の経過とともに再びお口の中で増えていきます。特に、重度歯周病で深い歯周ポケットがあった部分は、治療後も汚れがたまりやすく、ご自身の歯みがきだけでは清掃が行き届きにくい場合があります。そのまま放置すると、細菌が再び増えて炎症が起こり、歯周病の進行が再開してしまうおそれがあります。

定期メンテナンスでは、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯のぐらつき、噛み合わせの状態などを確認し、歯ぐきの状態に変化がないかをチェックします。あわせて、歯科衛生士が専用の器具を用いて、歯周ポケットの中や歯の表面の汚れ、歯石を取り除きます。歯みがきの状態を確認し、必要に応じて清掃方法のアドバイスも行います。

メンテナンスの間隔は、お口の状態や歯周病の進行度によって異なりますが、治療後しばらくは1〜3か月ごと、状態が安定してきたら3〜6か月ごとが目安とされることが多くあります。定期的にメンテナンスを続けている方は、歯を失うリスクが低い傾向にあるという報告もあり、継続することが大切です。

歯科医院で行う専門的なクリーニングについては、当院のPMTCのページでご紹介しています。

毎日のセルフケアで意識したいポイント

歯周病の進行を防ぐためには、歯科医院でのメンテナンスに加えて、毎日のセルフケアがとても重要です。歯周病の原因となる歯垢(プラーク)は毎日少しずつたまっていくため、日々の歯みがきでどれだけ取り除けるかが、治療後の状態を左右します。

歯みがきでは、特に歯と歯ぐきの境目を意識することが大切です。歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に軽く当て、小刻みに動かすように磨くと、歯周ポケットの入り口付近の汚れを落としやすくなります。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけ、歯ぐきが下がる原因になることもあるため、やさしい力で丁寧に磨くことを心がけましょう。

また、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れの多くが残ってしまうといわれています。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯ブラシが届きにくい部分の汚れも落としやすくなります。歯周病で歯ぐきが下がり、歯と歯の間のすき間が広がっている場合は、すき間の大きさに合った歯間ブラシを選ぶことが大切です。歯並びが複雑な部分や奥歯の裏側には、毛先が小さい「タフトブラシ」が役立つこともあります。

どの清掃用具が合っているかは、お口の状態によって異なります。メンテナンスの際に歯科衛生士へ相談し、ご自身に合った方法を身につけていくことをおすすめします。

歯みがきのコツについては、「毎日の歯磨きで大切なこと」のコラムもあわせてご覧ください。

喫煙や生活習慣が歯周病に与える影響

歯周病の進行には、お口の清掃状態だけでなく、喫煙や生活習慣も深く関わっています。治療後の状態を保つためには、こうした要因にも目を向けることが大切です。

中でも、喫煙は歯周病の大きなリスク要因の一つとされています。たばこに含まれる物質の影響で歯ぐきの血流が悪くなり、体の免疫機能も低下するため、歯周病にかかりやすく、進行もしやすくなると考えられています。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかるリスクが数倍高いという報告もあります。また、血流の低下によって歯ぐきからの出血が起こりにくくなるため、歯周病が痛くないまま、気づかないうちに進行してしまうことがあります。さらに、喫煙は歯周病治療後の傷の治りや、歯周組織再生療法の効果にも影響を与えるとされています。禁煙によって歯周病のリスクは低下していくと考えられているため、禁煙を検討することは歯周病治療においても意味のある取り組みです。

喫煙以外にも、糖尿病などの持病のコントロール、睡眠不足やストレス、偏った食生活なども、体の抵抗力を低下させ、歯周病の進行に影響を与える可能性があります。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合は、歯を支える組織への負担が大きくなることもあります。

生活習慣をすべて一度に変えることは難しいかもしれません。できることから少しずつ取り組み、気になることは歯科医師や歯科衛生士に相談してみてください。

 

9.重度歯周病の放置に関するよくある質問

痛みがなければ、しばらく様子を見ても大丈夫ですか?

痛みがないと、「急いで治療しなくてもよいのでは」と感じるのは自然なことです。ただ、歯周病については、痛みがないことを理由に様子を見続けることはおすすめできません。

歯周病は、多くの場合、強い痛みを伴わずに進行する病気です。歯ぐきの奥で慢性的な炎症が続き、歯を支える骨が少しずつ失われていても、日常生活ではほとんど変化を感じないことがあります。痛みや大きな腫れが出たときには、すでに歯周病がかなり進行しているケースも少なくありません。つまり、「痛くない」という状態は、「進行していない」ことを意味するとは限らないのです。

重度歯周病を放置すると、骨の吸収がさらに進み、歯のぐらつきが強くなったり、最終的に歯を失ったりする可能性があります。また、進行するほど歯を残すための治療の選択肢が限られてくることも考えられます。

もちろん、仕事や家庭の事情ですぐに通院するのが難しい場合もあるでしょう。そのような場合でも、まずは一度受診して現在の状態を確認し、どの程度の緊急性があるのか、どのようなペースで治療を進められるのかを歯科医師に相談してみてください。ご自身の状況に合わせた治療計画を一緒に考えることができます。

歯周病は自然に治ることがありますか?

歯周病の進行段階によって答えは異なりますが、歯を支える骨が失われ始めた「歯周炎」の段階、特に重度歯周病の場合は、自然に治ることは期待しにくいと考えられています。

炎症が歯ぐきだけにとどまっている「歯肉炎」の段階であれば、丁寧な歯みがきによって歯垢を取り除くことで、歯ぐきが健康な状態に戻ることが期待できます。しかし、歯周炎まで進行すると、歯周ポケットの奥深くに歯石や細菌がたまり、ご自身の歯みがきだけではそれらを取り除くことが難しくなります。原因が残ったままでは、炎症も続きやすくなります。

また、「腫れや痛みが引いたから治った」と感じることがあるかもしれません。これは、一時的に強まった炎症が落ち着き、再び慢性的な状態に戻っただけという場合が多くあります。症状が消えている間も、歯周病の進行は静かに続いている可能性があります。

さらに、歯周病によって一度失われた骨は、自然に元の状態へ戻ることはほとんどありません。だからこそ、できるだけ早い段階で原因を取り除き、進行を食い止めることが大切です。

歯周病の治療は、歯科医院での専門的な処置と、毎日のセルフケアの両方がそろって効果を発揮します。気になる症状がある方は、まずは歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

重度歯周病と言われたら、抜歯しかないのでしょうか?

重度歯周病と診断されたからといって、すべての歯を抜かなければならないわけではありません。歯を残せるかどうかは、1本ずつの状態をもとに判断されます。

判断の材料となるのは、歯を支える骨がどのくらい残っているか、骨の失われ方の形、歯のぐらつきの程度、根の形や本数、噛み合わせの状態などです。同じお口の中でも、歯によって進行の程度は異なることが多く、治療によって保てる可能性がある歯も少なくありません。まずは歯周基本治療で炎症を抑え、その後の歯ぐきや骨の反応を見たうえで、改めて歯を残せるかどうかを判断することもあります。また、状態によっては歯周外科治療や歯周組織再生療法が検討される場合もあります。

一方で、骨がほとんど失われていて保存が難しい歯や、残すことで周囲の歯を支える骨にまで悪影響を及ぼすおそれがある歯については、抜歯が提案されることもあります。これは、お口全体の健康を守り、ほかの歯を残すための判断として行われるものです。

抜歯を提案された場合でも、その理由や、抜歯をしなかった場合に考えられる経過、抜歯後の治療方法などについて、十分に説明を受けることが大切です。納得できない点があれば遠慮なく質問し、必要に応じてセカンドオピニオンを求めることも一つの方法です。

歯をできるだけ残すための当院の取り組みについては、「歯を残す」治療のページでご紹介しています。

 

10.「痛くない今」だからこそ、向き合う意味がある

歯周病の進行は早めの対応で変えられる可能性がある

ここまでお伝えしてきたように、歯周病は痛みなどの自覚症状が出にくいまま進行することが多い病気です。そして、重度歯周病を放置すると、歯を支える骨がさらに失われ、歯のぐらつきや歯の喪失、噛み合わせの乱れにつながる可能性があります。さらに、糖尿病をはじめとする全身の健康とも関わりがあることが分かってきています。

こうした情報を知ると、不安が大きくなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、大切なのは、歯周病の進行は早めに対応することで、その後の経過を変えられる可能性があるということです。

歯周病によって一度失われた骨を自然に元へ戻すことは難しいものの、原因となる細菌を取り除き、炎症を抑えることで、進行を緩やかにしたり、食い止めたりすることが期待できます。重度と診断された場合でも、治療によって歯ぐきの状態が安定し、歯を保てるケースもあります。また、状態によっては、失われた歯周組織の回復を目指す治療が検討されることもあります。

痛みがない今は、慌てずに治療計画を立て、ご自身のペースで治療に取り組みやすい時期ともいえます。症状が強くなってから対応するよりも、選べる治療の幅が広い段階で向き合うことが、歯を守ることにつながります。

残っている歯を守るために今できること

重度歯周病と向き合ううえで大切なのは、「これまで」よりも「これから」に目を向けることです。残っている歯を守るために、今からできることは少なくありません。

まず取り組みたいのは、歯科医院で現在の状態を正確に把握することです。歯周ポケット検査やレントゲン検査を受けることで、どの歯がどの程度進行しているのか、治療によって保てる可能性がある歯はどれかといったことが明らかになります。ご自身の状態を知ることが、治療の第一歩になります。

次に、毎日のセルフケアを見直すことです。歯と歯ぐきの境目を意識した歯みがきや、歯間ブラシ・デンタルフロスの使用は、歯周病の原因となる歯垢を減らすために欠かせません。自己流の方法では磨き残しが生じやすいため、歯科衛生士から、ご自身のお口に合った清掃方法のアドバイスを受けることをおすすめします。

また、生活習慣に目を向けることも大切です。喫煙習慣がある方は禁煙を検討すること、糖尿病などの持病がある方はその治療を継続することが、歯周病の進行を抑える助けになります。

そして、治療後は定期メンテナンスを続けることです。歯周病は再発しやすい病気だからこそ、継続的に状態を確認していくことが、残っている歯を長く守ることにつながります。

まずは専門の歯科医師にお口の状態を相談することから

「痛くないから大丈夫」と思いながらも、どこかで不安を感じていた方や、重度歯周病と告げられて戸惑っている方にとって、最初の一歩として大切なのは、専門の歯科医師にお口の状態を相談することです。

歯周病の状態は、見た目やご自身の感覚だけで判断することが難しい病気です。
検査によって客観的に状態を確認し、歯科医師から説明を受けることで、「今どのような状態なのか」「放置した場合にどうなる可能性があるのか」「どのような治療の選択肢があるのか」を具体的に知ることができます。
漠然とした不安を抱えたまま過ごすよりも、現状を知ることで、次に何をすべきかが見えやすくなります。

受診の際には、気になっている症状や、治療に対する不安、通院の頻度や期間に関する希望なども、遠慮なく伝えてください。
「歯を抜きたくない」「できるだけ通院の負担を少なくしたい」といったお気持ちを共有することで、ご自身の状況に合った治療計画を一緒に考えやすくなります。

歯周病は、早めに向き合うほど、歯を守るための選択肢を多く残せる可能性がある病気です。
痛みがない今だからこそ、落ち着いてご自身のお口と向き合うことができます。
気になることがあれば、どうぞお気軽に歯科医院へご相談ください。

当院院長の経歴や診療に対する考え方は院長紹介ページで、ご相談・ご予約の方法はアクセスページでご案内しています。
歯やお口の健康に関するコラムをスタッフブログにて随時更新しておりますので、あわせてご覧ください。

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痛みに配慮した優しい治療を追求する総合歯科医院

荒川区町屋駅徒歩1分の歯医者・歯科

監修:町屋メディウム歯科

所在地:東京都荒川区町屋1-1-9 メディカルセンターMedium町屋4F

電話番号:03-6807-6205

===監修者・医師紹介===

【院長】貞森 丈平

経歴

2012年 日本大学松戸歯学部卒業

2013年 日本大学松戸歯学部臨床研修医修了

2014年 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 助手専任

2016年〜 都内歯科医院にて勤務

2019年 町屋メディウム歯科を開業

所属

日本補綴学会 会員

日本口腔インプラント学会 会員

CID club(Center of Implant Dentistry) 会員

日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤医員

歯科医師臨床研修指導医 非常勤医員

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■この記事の監修者

貞森 丈平

経歴
  • 2012年 日本大学松戸歯学部卒業
  • 2013年 日本大学松戸歯学部臨床研修医修了
  • 2014年 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 助手専任
  • 2016年〜 都内歯科医院にて勤務
  • 2019年 町屋メディウム歯科を開業
所属
  • 日本補綴学会 会員
  • 日本口腔インプラント学会 会員
  • CID club(Center of Implant Dentistry) 会員
  • 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤医員
  • 歯科医師臨床研修指導医 非常勤医員

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